Yukiko Yanagida's blog

柳田由紀子(やなぎだゆきこ)=むかし編集者、いまノンフィクション作家、在ロサンゼルス。最新刊『宿無し弘文ースティーブ・ジョブズの禅僧』(集英社文庫)で第69回日本エッセイストクラブ賞。米国人の夫と二人暮らし。家事もけっこう真面目にやってます。オフィシャルサイト=www.yukikoyanagida.com

アメリカ鉄道旅行:西部開拓ルート「サウスウエスト・チーフ号」で行くサンタフェ〜ロサンゼルス

 2日間サンタフェに滞在、仕事を終えて往路同様、アムトラックの「サウスウエスト・チーフ号 (Southwest Chief)」に乗ってロサンゼルスに帰った記録です。

 往路の旅行記はこちら↓。 

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 サンタフェアムトラックの駅はありません。サンタフェから、アムトラック手配のシャトルバスに乗って約40分のレイミイ駅に。ところが、ここで早速、アムトラック名物の遅延が発生しました。2時間近い遅れとのことで、まったりした時間が流れていきます。

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 レイミイ駅の待合室で出会ったメキシコから旅行中の母娘とまったり。二人ともスペイン語で話しかけてくるんだけど、まあ、案外言いたいことはわかるもんです。 

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 レイミイ駅の待合室。1880年に造られたそう。シカゴ、ロサンゼルスなどメジャー駅以外のアムトラック駅には、カフェもレストランもありません。私は、たまたまお弁当を持っていたので助かった。

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 デジタルじゃない時刻表にうっとりしちゃう”鉄子”な私。 

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 トイレに入ったらすっかりメキシカン。レイミイはニューメキシコ州です。

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”アスタマニャーナ”なお母さんも、さすがに退屈だと言っている(ようです)。

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 お、来た、来た。2時間半遅れでサウスウエスト・チーフ号が到着。約20時間の旅の始まりです。ロサンゼルスに着くのは明朝。

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 ともに待合室でまったりしたメキシカン母娘と、一緒の車両に乗り込みました。往路は個室寝台でしたが、帰路は普通車(124ドル=約14,000円)。自由席です。普通車には個室寝台では味わえないこういう出会いがあり、捨てがたいのです。 

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 空いています。そもそも、普通車の座席自体が飛行機のビジネスコーチ並みの広さなのですが、空いている場合は隣も使えるのでもう悠々。足元のフットなんとかも持ち上がってベッド状態です。

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 ただし、普通車は寝台車と違いWiFiには接続できないし(路線によっては、普通車でもWiFiあり)、食堂車での豪華な食事も付いていません。なお、アムトラックは冷房がビンビンに聞いているので、車中泊するなら、薄い毛布を1枚持参することを強くお勧めします。

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  横長の車窓なので、まるで映画のように風景が流れていきます。

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 個室寝台と同じく、普通車にもスチュワートはいます。座席まで夕食を配膳してくれるサービスを頼んだ旅の道づれの子どもたち。

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 牛肉100%のハンバークステーキ、グレービーソース添え。超デカ・クッキーやお水まで付いて12ドル(約1,300円)。悪くないですね。

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 出発から約1時間半後、アルバカーキ駅に到着しました。まだ遅れは取り戻していません。私と母娘がいるのは、この車両の2階席。

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 ラウンジカーといって、ガラス張りの眺めが良い車両もあります。入場無料、自由席。 

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 普通車の場合、持参弁当かカフェでの軽食、あるいは、食堂車で食事をすることになります。私は食堂車に行って、まずはワインのハーフボトルでまったり。その後、ステーキを食べましたが、チップ込みで全部で40ドル弱(約4,000円)。アムトラックの食事はおいしいです。たとえば、飛行機のビジネスコーチの食事より上等です。

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 座席数が限られているので、食堂車はたいてい相席です。今夜、相席だったおっさんは、野菜が嫌い、牛肉大好き、デザート命。いいおっさんだった。食事が終わる頃、車内アナウンスありーー「ここからアリゾナ州に入りますので、時計を1時間若くしてください」。

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 酔っぱらっちゃいられないのですが、ハーフボトルじゃ飲み足りなくてカフェにやって来ました。

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 と、メキシカン母さんも登場。カップラーメン(カフェで売ってます)とビールで夕食。お母さん、けっこうイケてるので、もてちゃってた〜いへん。

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 すっかり陽が落ちました。アムトラックはかなり細かく停車しますが、すべての駅で乗客がホームに出られるわけではありません。スモーカーは、よくアナウンスを聞いていないと、吸いドキを逃して大変なことになります(アムトラックは全席禁煙)。

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 9時頃。グランドキャニオンの玄関駅、フラッグスタッフ到着。さすがに、たくさん人が乗ってきました。フラッグスタッフ駅からは、グランドキャニオンを往復する連絡バスが走っています。

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 フラッグスタッフ駅はこんな感じ、良い感じ(この写真は以前撮影したもの。サウスウエスト・チーフ号は、行きも帰りも暗い時間に着きます)。

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  グランドキャニオンには、鉄道を乗り継いで行くこともできます。その場合は、フラッグスタッフのお隣、ウイリアムズ駅(アリゾナ州)で下車し、「グランドキャニオン鉄道」に乗ります。2度体験しましたが良きものでした。ただし、車窓から眺められるグランドキャニオンは、ほんの、本当にほんの一部区間のみ。グランドキャニオン鉄道は、季節や時間により、蒸気かデーゼル車。グランドキャニオン鉄道の詳細はこちら↓。

Welcome to the Grand Canyon Railway | Grand Canyon Railway & Hotel, Arizona


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 アムトラックはペットフレンドリー。時々、ものすごーく大きな犬が乗ってたりしてびっくりします。

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 真夜中の展望車両。テーブルも電源もあるので、デスクワークをしたい人は充分働けます。路線によっては、展望車やカフェがナイトクラブのような盛り上がりを見せることもありますが、今夜はとっても静か。おやすみなさい。 

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 おはようございます。普通車の座席で横になってたっぷり眠った翌朝、車窓から見えた日の出。スチュワートの話では、すでにカリフォルニア州に入っているそうです。

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 たった今、「まもなく食堂車は朝食の時間です」のアナウンス。でも、全然お腹が空いてない。寝台車だと、チケット代に含まれているので無理してでも食べちゃいますが、普通車はその点、気が楽。これも普通車の良いところですね。

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 あ! ずっと見たかった建物が、車窓を流れていきました。バースロウ(Barstrow)の旧駅舎です。豪奢な建物が、今は廃墟になっています。

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 みなさんは、フレッド・ハーヴェイってご存知ですか? ハーヴェイは、アメリカの駅や食堂車に、上質な食事とサービスを普及させたイギリス人実業家。氏は、駅構内や駅前にホテル・チェーンも展開しましたが、かつてバースロウ駅には、彼が手掛けたCasa del Desiertoがあったのです。アムトラックの食事が上等なのも、ハーヴェイの影響。バースロウ旧駅舎、今度はじっくり訪ねたいな。

 フレッド・ハーヴェイの詳細はこちら↓。

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 なお、バースロウ付近の街、ニューベリー・スプリングス(アムトラックは停車しない)には、映画『バクダットカフェ』の舞台になったカフェが現存します。

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 歯を磨いたり、コーヒーを飲んだりしているうちに、列車はロサンゼルス郊外のサンバルディーノ駅に到着。メキシカン母娘は、この駅で降りて行きました。親戚がアメリカ移民になって、この街に住んでいるそうです。バイバイ!^_^  

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 午前10時少し前、ロサンゼルス駅に着きました〜! 予定より約2時間の遅れ。アムトラックとしたら上出来です。さあ、おうちに帰ろう。

                            

 鉄道好きなら、ロサンゼルス駅(ユニオンステーション)は一見の価値ありです。

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