Yukiko Yanagida's blog

柳田由紀子(やなぎだゆきこ)=むかし編集者、いまノンフィクション作家、在ロサンゼルス。最新刊『宿無し弘文ースティーブ・ジョブズの禅僧』(集英社文庫)で第69回日本エッセイストクラブ賞。米国人の夫と二人暮らし。家事もけっこう真面目にやってます。オフィシャルサイト=www.yukikoyanagida.com

シェラの山々を眺めつつ荒野で露天風呂をー「ベントン温泉」(カリフォルニア州)

 カリフォルニア州中部、イースト・シェラ(シェラネバダ山脈の東側)へ3泊4日の温泉旅行に出かけました。このあたりには、けっこうな温泉があるのです。まずは、ロサンゼルスから約5時間(サンフランシスコからだと約6時間)、ベントン温泉(The Inn at Benton Hot Springs)に1泊。5時間のドライブはややきついけれど、途中から左側にシェラネバダ山脈の素晴らしい景色が広がります。

Benton Hot Springs Inn

ベントン温泉(The Inn At Benton Hot Springs )の特徴は、露天風呂がたくさんあること。しかも、我ら日本人にはうれしい高温。その上、裸で入ってOKです!

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

シェラの山々をのぞむ露天風呂も。立っているのはお掃除係。お湯は1日1回、全取っかえします。循環なし、生粋の源泉を使用。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

こちらはスパニッシュな造りの露天風呂。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

 敷地面積150万坪に全12の露天風呂。全米でも屈指の数です。すべて家族風呂なので、他人の目を気にすることもなし。宿泊客は、上記写真3つの露天風呂に入浴可(他人が入っている時は待つシステム)。他はキャンプ客用で、各キャンプ・ユニットにひとつ露天風呂が付いています。すべての露天風呂の写真はここをクリック。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

 どの露天風呂にも24時間、源泉が惜しげもなく注がれています。源泉は60℃。これをパイプを通して各露天風呂に送っているのですが、蛇口から出てくる温泉の温度もかなり熱い。そのままでは入るのに勇気がいるほど熱い浴槽もあります。また、水道の蛇口がないので水を足すこともできません。したがって、熱いお湯が苦手な人は、自分が入る前に源泉の蛇口を閉めて、しばらく湯を冷ますという〈素敵に原始的〉な方法が採られています。

 残念ながら泉質は不明。宿のオーナーに尋ねたところ、「こんなに熱いお湯が年がら年中湧いているんだ。泉質など調べる必要ねえだろう!」。まあ、そうとも言える。無色無臭。日本の温泉法に照らせば、「炭酸水素塩泉」あるいは「硫酸塩泉」あたりか? 肌がスベスベ、しっとりになるのは確か。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

客室料金=2名で$169.00。バスルームのお湯も温泉です。冷蔵庫、衛星テレビ、ドライヤー、Wi-Fi、バスローブあり。ローブで敷地内ぷらぷらOK。日本旅館の浴衣のようなものですね。なお、キャンプ・サイト料金は$95.00~(朝食なし)。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

宿泊料は朝食込み。この朝は、フレンチトースト、スクランブルエッグ、フルーツ、コーヒー、オレンジジュース。なかなかおいしかったです。ランチ、ディナーなし。ただし、敷地内にバーベキュー施設あり。周辺にレストランはないので、食糧は手前の町、ビショップで調達を。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

キャンプ・サイトはこんな感じ。ここからもシェラの山々が見えます。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

 さて、ベントン温泉の歴史について少々。ベントン温泉は、太古の昔からネイティヴ・アメリカンに慈しまれてきました。そこに現れたのが西部開拓者たち。ベントンは鉱山の街として栄えました。

 その後は、
*1852年/ベントン、開拓者の関所に指定される。
*1862年/ベントンで銀発見。
*1883年/カーソン・コロラド鉄道がベントン駅開業。
 と、発展していきました。
 鉱山ブームがとっくに過ぎ去った現在は、人口の少ない静かな村です。

 私が、最初にベントン温泉を訪ねたのは、もう25年ほど前。その時、雑貨屋さんの裏庭にある露天風呂に入りました。以来、〈雑貨屋とお風呂〉というミスマッチをずっと不思議に思っていたのですが、その後、①雑貨屋=もともとは、西部開拓者のための旅行用品販売所&銀行、②旅の汚れを落とす温泉風呂も提供していたことを知りました。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

露天風呂ありの不思議な雑貨屋(現在閉店/建物現存)。25年前の写真です。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

雑貨屋の裏庭に樽風呂の温泉。ドリフの「もしもの〜」みたいで笑えました。これまた25年前の写真。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

大昔の看板。「日帰り温泉25セント、客室75セント」と書いてあります。

 ところで、The Inn at Benton Hot Springsには、ひとつ問題が。ダニに刺されちゃったんですよ。私は7年前にも泊まったのですが、その時も刺されました。なので、私自身はもう客室に泊まるつもりはないです。ただ、温泉自体は捨てがたいので、次回はキャンプ・サイトに泊まってみよう。

Inn at Benton Hot Springs55137 Hwy 120, Benton, CA 93512

phone: 866-466-2824, 760-933-2287

ツインルーム$169.00〜。キャンプ・サイト$95.00〜。

https://www.bentonhotsprings.us/

ハイウエイ120を北上した場合、ガソリンスタンド(写真下)を左折。

ベントン温泉(カリフォルニア州)の写真

ガソリンスタンド。7年前の写真。今はもっと古ぼけた感じで、食堂も閉鎖されていました。

 なお、ベントン温泉から南(ロサンゼルス寄り)に車で1時間半の地に、マンザナ日系人収容所の跡地があります。アメリカの日系人史を知る上で「マスト」的な地です。立ち寄られることを切におすすめします。

yukikoyanagida.hateblo.jp