夏に続いて、この秋もイースタン・シェラ(シェラネバダ山脈の東側)にて3泊4日の温泉巡りをしてきました。出発地はロサンゼルス。宿泊地は3夜ともに、イースタン・シェラで比較的大きな街、ビショップでした。まずは、行きと帰りに寄った「キーオ温泉(Keough's Hot Springs)」のリポートです。

常に、上方から源泉が散布されているキーオ温泉のプール。
日本の山間部にある温泉付きの一軒宿——キーオ温泉には、そんな趣があります。したがって、鄙びた、そして、渋めな雰囲気が好きな方向きの温泉です(私がそうです)。逆に、ラグジュアリー系が好みの方にはまったく向いていないです。
場所は、カリフォルニア州中央部のオーエンズ渓谷(Owens Valley)。ビショップから南7マイル(約10キロ/車で約10分)のハイウエイ395沿いです。

ハイウエイ395から「キーオ・スプリングス・ロード」に入ってすぐ。
夏のイースタン・シェラ温泉巡りのリポートは、こちら(↓)。
実は私、20年くらい前に一度、キーオ温泉を訪ねているんですね。アメリカに移住して数年後のことでした。あの時は、「なーんだ、アメリカの温泉て、この程度か」と、落胆したものです。なぜなら、ただの温泉プールと、無機質なコンクリートに囲まれた小さなプールのような湯船があるだけだったからです(今もそうです)。
なので、今回もさほど期待せずに寄ったのですが、いやあ、とてもよかった! そりゃ、日本の温泉と較べたら足りないものは多々あります(第一、ビールもお刺身もお座敷もありません)。しかし、キーオ温泉は清貧というか、あるべきものだけある(つまりは、いい湯がある)正しい温泉施設だということに、今回気づきました。客層も落ち着いた方々が主で、私は好きでした。

温泉に浸かりながら読書する若い2人。知的で感じがよかったので、許可をもらって撮影。
キーオ温泉には、30X12メートルのプール(30~32℃)と、4.5X12メートルの湯船(40℃)があり、ともに源泉が惜しみなく注がれています。上の写真は湯船のほう。冒頭の写真がプールです。湯船は40℃とHPに記載されていますが、もう少し熱い(したがってうれしい)ように感じました。秋なので湯温はどちらも快適でしたが、冬だとプールのほうは肌寒いかもしれません。
キーオ温泉は、フィリップ・キーオさんが1919年に創業。敷地内には、かつてバスハウス(浴室棟)として使用された建物も保存されています。当時は、この辺りのちょっとした一大娯楽施設だったようで、ダンス・パーティも盛んに開かれたとか。

かつてのバスハウス(浴室棟)。1935年作成のパンフレットには、「入浴料/50セント」と記されています。

プールサイド。プールと湯船の入場料=大人14ドル(含・更衣室、簡易シャワー使用料)。インフレのアメリカにあって、夢のように良心的な値段です。

温泉がコンコンと湧く井戸。1935年のパンフレットには、「54℃の温泉が毎日4,497,067リットル湧出」とあり。

同じパンフレットに掲載された含有物リスト(シリカ、カルシウム、ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムなど)。無色無臭のやさしい温泉。日本の温泉法でいうところの「ナトリウムー塩化物泉」に近いかもしれません。

テント・キャビンで宿泊もできます。1泊=$160.00+税金(含・プール、湯船、シャワー利用代。テレビなし。トイレとシャワー共同)。ポーチやバーベキュー・セット付き。広場には、テーブルやベンチ、その他、キャンプファイヤーができる場所も。

テント・キャビンの室内。それなりに広いですね。他にキャンプ・グラウンドやRVサイトもあります。

キーオ温泉内の地図。贅沢ではありませんが、さまざまな施設が揃っています。
ハイウエイ395沿いの街、ビショップから南に7マイル。南北どちらから行っても、ハイウエイ沿いに「Keough's Hot Springs」の看板が出ています。ロサンゼルスから4時間半。サンフランシスコから7時間。
客観的に考えて、温泉施設の充実した日本からわざわざキーオ温泉を訪ねる必要はない気がします。あるいは、アメリカの温泉を一度体験してみたい方なら楽しめるかもしれません。アメリカの温泉にもさまざまなタイプがありますが、ここのような「温泉プール中心&水着着用」はひとつの典型です。
今回は行きと帰りに日帰り温泉しただけですが、次回は、テント・キャビンに2、3泊して湯治しようかな。でも、3泊すると480ドル+税金。トイレとシャワーが共同のわりには、けっこうな値段ですね。悩む——。
Keough's Hot Springs
address: 800 Keough Hot Springs Rd, Bishop, CA 93514
phone: 760-872-4670
http://www.keoughshotsprings.com
要・水着。ドライヤーなし。
夏の「イースタン・シェラ温泉巡り」のリポートは、こちら↓。