Yukiko Yanagida's blog

柳田由紀子(やなぎだゆきこ)=むかし編集者、いまノンフィクション作家、在ロサンゼルス。最新刊『宿無し弘文ースティーブ・ジョブズの禅僧』(集英社文庫)で第69回日本エッセイストクラブ賞。米国人の夫と二人暮らし。家事もけっこう真面目にやってます。オフィシャルサイト=www.yukikoyanagida.com

青森で津軽三味線を聴きまくる法ーー酒場で、物産館で、三味線会館で

 津軽三味線が好きです。このたび、青森駅周辺に2泊滞在。酒場で、物産館で、三味線会館で、できる限り津軽三味線を聴いて来ました。

 津軽三味線を聴きまくるなら、本当は5月に行くのがベストです。なぜなら、毎年、5月3日〜5日にかけて、青森や弘前、金木で大会が開催されるからです。ですが、この期間に行かれなくても、津軽三味線を聴ける酒場や会館はたくさんあります。まずは酒場から紹介しましょう。

【酒場にて】

甚太古(じんたこ)

 私がいちばん好きだったのが「甚太古」(青森駅から徒歩5分)。高橋竹山に長年師事した西川洋子さんのお店です。津軽三味線には、大別して2派の演奏法があります。ひとつが豪快な「叩き三味線」、もうひとつは高橋竹山を頂点とする繊細な「弾き三味線」。西川さんの演奏法は、竹山ゆずりの後者です。情感いっぱいで、大変心を揺さぶられました。

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甚太古」は、西川さん(左)のソロが中心ですが、太鼓と唄が入るコーナーもあります。全2時間くらいだったでしょうか。まずは、西川さんの演奏を聴いてみてください。

  

 ね? 良いでしょ? なんて優美な手つきなんでしょう。こんな凄い演奏をされるのに、西川さんは気さくで、この日は私たちの他にお客さんがいなかったこともあり、三味線の弾き方を手取り足取り教えてくださいました。

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 入店するには、コース料理を注文しなければなりません(5000円前後)。帆立貝の焼き味噌、けの汁(っぽいもの)、山菜などーー正直、特に美味というわけでもなかったけれど、青森の郷土料理を中心とする盛りだくさんな内容でした。それに何より、このお店では、西川さんの三味線を聴くだけで充分に満足なのでした。

⚫️甚太古

address: 青森市安方1-6-16 phone: 017-722-7727

open: 18:00~22:30(演奏は19:00頃〜) 定休日: 第1、3日曜日 

詳細は要電話

          

ねぶたの國 たか久(きゅう)

 こちらのお店、「ねぶたの國 たか久は、駅から車で10分弱の居酒屋です。

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  何人かの津軽三味線奏者が、日替わりで演奏するようです。

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 閉店間際に行ったので、イマイチ様子がわからなかったのですが、津軽三味線だけでなく、ねぶた囃子の演奏や、お客がねぶたを踊るコーナーとかもあるようです。お姉さんたちは、かなりイケイケな雰囲気。何気におひねりを求められた感もあり、私は断然「甚太古」の方が好きだったな。宴会向きのお店かも。

⚫️ねぶたの國 たか久

address: 青森市本町5-6-11 phone: 017-723-4416 

TOP | ねぶたの国 たか久

        

 青森駅周辺の津軽三味線酒場は、他に→。津軽三味線の聴けるお店(青森市)|青森県観光情報サイト アプティネット その他、駅前の観光案内所で入手できる地図には、三味線印のお店がかなり載っています。ある三味線奏者いわく、「『りんご茶屋』の女将さんは上手いよ!」。それから、「りんご箱」は青森駅前のビル地下にあるので、時間に余裕がない場合は良いかもしれませんね→。郷土料理 津軽三味線 りんご箱

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 【観光物産館にて】

 青森で津軽三味線を聴くなら、何も酒場に行く必要もありません。青森駅から徒歩約10分の「観光物産館アスパム」では、無料で演奏を楽しめます。無料とはいえ質の高い演奏でした。

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 この日の奏者は福士晴夫さん。ここや金木の三味線会館(詳細は以下)で弾かれているそうです。確か、普段は、りんご園を営んでられると話されていたような。青森では、津軽三味線が生活に根づいているのですね。三味線音色頒布会(演奏会のこと)の時間は→。イベント一覧|青森県観光物産館アスパム

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 アスパムには、展望台やパノラマ映画館もあります。このパノラマ映画館、期待しないで入館したのですが(そして、案の定ガラガラだったのですが)、360度で映像が展開されるなかなか迫力のある内容でした。それから、2階の市町村ホール(無料)からの青森湾の眺めも良かったです。

⚫️観光物産館アスパム

address: 青森市安方1-1-40 phone: 017-735-5311

open: 9:30~19:00(季節により18:00まで) 休館日:  1月第4週月〜水、12月31日

         

 【太宰治の故郷、金木町でも】 

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 青森県五所川原市の金木町は、津軽三味線発祥の地。太宰治の故郷でもあります。青森駅から、奥羽本線・川部駅五能線・五所川原駅津軽鉄道・金木駅(冬にはストーブ列車が走る)を乗り継いで金木まで行って来ました。

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 なぜなら、金木には、津軽三味線のちょっとした博物館と、生演奏を聴ける多目的ホールを兼ねた「津軽三味線会館」があるからです(金木駅から徒歩約10分)。会館の入場料は500円。入館すれば、多目的ホールでの視聴は無料です。ホールでは、演奏の他に、津軽三味線の歴史や津軽の風土を描いたビデオも上映。ビデオも演奏も素晴らしかったけれど、平日の昼間だったので、観客はパラパラでした。なお、7日前までに事前予約すれば、プロから演奏指導も受けられるそうです。「津軽三味線会館」の詳細は→。津軽三味線会館|かなぎ元気倶楽部

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津軽三味線会館は、太宰治の生家、「斜陽館」の目と鼻の先にあります→。太宰治記念館「斜陽館」 - 太宰ミュージアム

⚫️津軽三味線会館

address: 五所川原市金木町朝日山189-3 phone: 0173-54-1616

open: 8:30~18:00(季節により9:00~17:00まで)休館日: 12月29日

  金木まで行くなら、太宰治の『津軽』はオススメ。戦中の1944年5月〜6月に津軽地方を歩いた旅行記です↓。

津軽 (新潮文庫)

津軽 (新潮文庫)

 

       

【弘前行きの「リゾートしらかみ号」に要注意】 

 3時半頃、金木駅から五所川原駅へ向かった私たちは、五所川原駅から五能線の「リゾートしらかみ号」に乗って、一気に弘前まで行く予定でした。弘前で、もう一軒、津軽三味線の酒場に行くつもりだったのです。ところが、リゾートしらかみ号が、まさかの運行なし! この列車は、運行日や時刻、区間が日によって異なり、大型時刻表でないと正確なところがわからない仕組みだったのです。あちゃ。そんなわけで、弘前でもう一軒の夢はあえなく消えて、ここに感想を書くこともできません。ただし、再びさる三味線奏者によれば、「弘前では、『あいや』が本格的だし上手い!」んだそうです。他には、「」「」といったお店の評判も良かったです。弘前津軽三味線酒場はこちら→。津軽三味線の聴けるお店(弘前市)|青森県観光情報サイト アプティネット

⚫️あいや

address: 弘前市富田2-7-3 phone: 0172-32-1529

 

津軽三味線ライヴ あいや 津軽三味線 渋谷和生 津軽三味線ライブ あいや 津軽三味線演奏 青森県 弘前市 OFFICEKAZU

 あと、弘前には津軽三味線の演奏会や、初心者が体験演奏できる「津軽藩ねぷた村」もあり→。津軽藩ねぷた村 津軽三味線演奏体験|青森県観光情報サイト アプティネット

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 なお、平松洋子さんの「週刊文春」連載、「この味」によると、弘前には「土紋」という「すばらしき居酒屋」がある由。(平松さんは他に、仏ヶ浦の「ぬいどう食堂」と外ケ浜の「旅路」を「青森が誇る『とんでもないうに丼』の聖地」と記しています)。 

【おまけ情報】

 リゾートしらかみ号に乗り損なった私たちは、五所川原にていきなり予定を変更。駅から徒歩約5分の「立倭太多(たちねぷた)の館」を訪ねました。そして、これが迫力満点なのでした! 全国的に知られているねぶたは横位置ですが、こちらは縦位置。しかも、建物の階数にして3、4階分くらいの高さ(約20メートル)があり、圧倒的なのです。こんなねぷた、知らなかったよ。リゾートしらかみ号に乗り損なったことで、かえって思い出深い時間となりました。→立佞武多の館 :: 立佞武多の館ご案内 -たちねぷたのやかたごあんない-

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 左が、立倭太多@「立倭太多(たちねぷた)の館」。右が、一般的に知られるねぶた@青森駅前「ねぶたの家 ワ・ラッセ」。     

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 数々のねぶたを展示した「ねぶたの家 ワ・ラッセ」では、ねぶた囃子の太鼓を叩けるコーナーも。「ねぶたの家 ワ・ラッセ」もはずせません→。ねぶたの家 ワ・ラッセ                   

  青森、良い所がたくさんあって、また行きい!  また行きたいといえば、ここ↓も。

yukikoyanagida.hateblo.jp